歯科矯正に関してクレームが発生した事例
事案の概要
歯科矯正を専門に行っている歯科医師よりご相談を受けました。
矯正治療を行っていた患者様から治療に関してクレームが出て、歯科医師より何度かご説明をしているものの、納得いただけない状態になっていました。当該患者様は、結局、別の歯科医院に転院されたのですが、その後も電話や書面で様々な質問や要求が続いており、対応に困られて、当事務所にご相談にいらっしゃいました。
結論
ご依頼を受けた後、当事務所と患者様との間で1,2度やり取りをした結果、患者様からの連絡がなくなり、沈静化して、解決となりました。
歯科矯正を行う人は非常に増えています。
他方で、虫歯治療等と違って、歯科矯正の効果が実感しにくかったりするため、クレームもでやすいです。さらに、矯正治療は費用が高額になることが多いため、金銭に係るトラブルも多いです。
歯科矯正は、非常に複雑な面があり、患者様の中には歯科医師の説明がよく理解できないままはじめてしまっている方もいます。そのため、本件のようにクレームが出てきても趣旨が不明ということも非常に多いです。しかし歯科医師側としては、何とか患者様の疑問に答えなくてはという思いから、「こういうことかな」という想像で回答してしまったりして、紛争がさらに拡大していくことも珍しくありません。
本件のように、趣旨が良くわからない質問が続いてしまったようなときには、まずは趣旨がわからないことを伝え、明確にしてほしいことを特定するなどして、行き違いが出ないようにやり取りを続けることが重要です。そうすることで、患者様も自分の誤解に気づいたりすることができます。
また、そもそもの紛争予防の観点からは、矯正治療に関しては、治療開始前にしっかりと契約書や方針確認書等を作成し、書面をもって、治療内容の説明を行っておくことも重要になります。
矯正治療に関して残念ながらトラブルが起きてしまったとき、また、起きる前に対策を考えたいと思われた時には、専門家にご相談ください。