columnコラム

債権

債権回収 支払督促①

弁護士 長島功

 今回からは,債権回収のための法的手続の中でも,比較的利用しやすい支払督促という手続について,何回かに分けてご説明していこうと思います。

1 支払督促とは
 正確には,金銭その他の代替物または有価証券の一定数量の給付を目的とする債権について,債権者の申立てによって,裁判所書記官が督促状を発付する手続です。
 要は,お金等の請求に際して,裁判官ではなく,裁判所書記官という立場の人が督促状を債務者に送ってくれる手続です。この手続により,特に債務者から異議がでなければ,「仮執行宣言付支払督促」というものが取得でき,強制執行をすることができるようになります。

2 支払督促の利点
 支払督促が便利な点として,証拠の提出が不要な点が挙げられます。
 通常,裁判では証拠をつけて訴え提起をする必要があり,それが煩雑であったりするのですが,支払督促の場合,証拠の提出は要求されていません。
 また,通常の裁判では,裁判所への出頭が必要になってくるのですが,支払督促の場合,書面のやり取りのみで,裁判所への出頭は要求されません。裁判所書記官は提出された申立書等の書類に形式的に不備がなければ,支払督促を出します。
 このように,支払督促は申立手続が簡便で,その後の手続も書面だけで進められることから,請求する側には非常にメリットの多い手続といえます。

 次回は,この手続を利用できる場合の要件や手続の流れについて,もう少し詳しく概観していこうと思います。