第三者のツイートにコメントを付してインターネット上に記事を投稿したことが名誉棄損に当たる判断された事例
弁護士 幡野真弥
東京地裁令和2年8月17日判決をご紹介します。
あおり運転に関連して、原告はあおり運転をした自動車に同乗していた女性と別人であるにもかかわらず、同乗の女性である旨のツイートがされた。被告ははこの元ツイートを引用して、ツイートを拡散するよう求めたうえで「同乗の女も見つけたようです。」とのコメントを付してフェイスブック上に記事を投稿しました。
裁判所は、被告が投稿したフェイスブックの記事が、原告の社会的評価を低下させるものであり名誉棄損が成立するとと認め、33万円の損害賠償を認めました。
被告は、①元ツイートを引用した上で元ツイートを拡散するよう求めるコメントを付していたこと、②被告は「同乗の女も見つけたようです。」というコメントも付していたことから、被告が元ツイートに賛同する趣旨であることは明らかで、被告によるフェイスブック記事の投稿が名誉棄損に当たることは自然なことかと思います。
ツイッターやフェイスブックには、他人の投稿した記事を引用して自己のアカウント上で投稿する機能があります。人の社会的評価を低下させる内容の表現を含むツイートを単純リツイートした者がその投稿について不法行為責任を負うとされた事例もありますので、SNSの使い方には注意が必要です。