columnコラム

債権

債権回収 法的手続をとる目的

弁護士 長島功

 督促状を送ったものの,債務者から返答がない,債務者と交渉をしたが,まとまらず,任意の支払いを受けられなかった場合には,法的手続を検討することになります。
 ただ,任意に支払を受けられないからと言って,常に法的手続をとるのがベストという訳ではありません。そもそも,法的手続をとる目的は,法的手続の種類にもよりますが,主として強制執行,つまり債務者の財産から強制的にお金を回収できるようにするためです。
 そのため,債務者にお金がなさそうであったり,債務者の資産を調査するのが困難な事情があるようであれば,法的手続をとったところで,ただ費用と時間を費やすだけの結果となってしまいます。
 したがって,任意の支払いを受けられないからといって,闇雲に法的手続をとるのは得策ではなく,基本的には,将来の回収の見込みがどの程度あるかを検討した上で,行った方が良いです。
 債務者の財産の調査は,法的手続を経て権利が確定することで,初めて行うことができるものもあるため,法的手続を経なければ,債務者に財産があるか否か判断できないケースも多く,悩ましいところではあるのですが,少なくとも法的手続に進むにあたって,上記の視点はもっておくべきだと思います。